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予防 歯周病

歯肉に45度で歯ブラシは正しいか?

CMでも見かけますが、歯ブラシを歯肉に45度であてることを正しい磨き方として推奨している場合がありますが、全ての方に推奨される磨き方ではありません。

推奨される場合と、されるべきではない場合を解説します。

  • 「歯ブラシを歯肉に45度」が推奨される場合
  • なぜ「45度」をよく耳にするのか

「歯ブラシを歯肉に45度」がいい場合

歯肉に対して45度の磨きは「バス法」という歯周病の予防、治療のための磨き方です。

この磨き方をすると、歯肉が薄い方や歯磨きの力が強い方では歯肉が下がってしまったり、歯の根元が削れていってしまったりしてしまいます。

やや柔らかめの歯ブラシで適正な圧で磨く必要がある、難易度が高い方法ともいえます。

なぜ「45度」の推奨をよく耳にするのか

ではなぜ「45度」の推奨をよく耳にするのでしょうか。

それはかつては歯周病の患者さんが多く、歯周病の改善が歯科医療の急務だったからです。

厚生労働省の2016年の調査では歯を失う理由の第1位は歯周病で37.1%、2位はむし歯29.2%です。2005年の調査では第1位は歯周病で41.8%、2位はむし歯32.4%でしたので10年間で改善が認められます。

日本人の歯周疾患は近年やや減少しており、他の国々に比べると良好な状態を示しています。しかし、依然として高齢者は半数以上が歯周ポケットを有し、歯周病関連の自覚症状を訴える人の割合も多く、歯周病は大変高い有病状況を示しています。

歯周疾患の有病率は歯周ポケットを有する人の割合で示されます。この割合は年齢が上がるにつれて高くなる傾向にあり、前期高齢者で53%、後期高齢者で62%となります。

改善されている傾向にはありますが、それでも歯周病は罹患率が高い病気なので、この歯磨きの方法は未だによく耳にすることになっています。

結局、正しい磨き方は?

それでは「歯周病」以外の方が行うべき歯磨きの方法は何でしょうか。

磨き方には種々の方法がありますが、答えは「全ての方に適した磨き方はない」ということです。

磨く方法によるプラーク除去率に有意な差はないとの研究結果もあります。個人の歯周病やむし歯のリスク、歯肉の厚み、磨き方によって適切な方法は異なります。担当の歯科医院で相談して頂くことをおすすめします。

出典

厚生労働省 e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp)