「歯医者さんでむし歯なのに歯を削らないで様子をみる、と言われたのですがどうしてですか?」
再石灰化の概念が確立して、むし歯治療の考え方が大きく変わったからです。
過去には歯科材料が歯と接着しなかったことも理由としてありますが、予防拡大(むし歯になりそうな部分は予め削って埋める)が主流でした。再石灰化治療の普及によって歯の表面(エナメル質)のむし歯は経過を診ることも多くなりました。ただし、再石灰化が促進されるようなお口の中の環境が前提です。歯磨きが出来ない、間食が多い、フッ素が使えない場合は削ることもあります。
歯の構造と進行したむし歯の場合を解説します。
- エナメル質と象牙質
- 進行した場合
エナメル質と象牙質
歯は層状構造になっていて、表面は体内で最も硬いエナメル質、内には象牙質、真ん中には歯髄腔と呼ばれる血管や神経が通っている空間があります。
エナメル質はほぼ無機質で構成されていて知覚はありません。象牙質は無機質70%、有機質30%で象牙細管と呼ばれる管が多数存在しており、象牙細管内の水分が動くことで刺激を感じると言われています。
エナメル質の部分のむし歯であれば、症状もありませんし、再石灰化により修復することができます。エナメル質と象牙質の境目や象牙細管に沿って、むし歯菌の感染が拡がることでむし歯は進行していきます。象牙質までむし歯が進行すると、再石灰化で治ることはないので治療が必要になります。
象牙質までむし歯が進行すると
象牙質までむし歯が進行してしまうと痛みもあり、歯を削らざるを得ない状況になってしまいます。自覚症状がないので難しいですが、検診を受け、初期むし歯で対応できる段階で発見することが大切です。