「タバコが体に悪いとわかっていても、なかなか辞められない」
というかたも多いと思います。煙草のヤニを気にされて来院される方もいらっしゃいますが、喫煙の害はそれだけではなく、お口の健康にも影響を与えます。
タバコの主な有害成分である「ニコチン」と「タール」の体と歯への影響を解説します。
- ニコチンの体への影響
- ニコチンの歯への影響
- タールの体への影響
- タールの歯への影響
- 加熱式タバコは体にいいの?
改めてその影響を知ることで、禁煙への一歩となれば嬉しいです。
ニコチンの体への影響
ニコチンは化学物質として非常に身体への影響が大きく、また依存性の強い成分です。
ニコチンは脳内でニコチン受容体と結びつき、快感を司る物質であるドーパミンの大量分泌を促します。喫煙によってこのドーパミンが急激に分泌される状態を繰り返すうち、ニコチンへの依存が起こるのです。
禁煙期間中にイライラしたり、集中力が低下したりするのも、ニコチンの依存性の影響によるものです。
二コチンを摂取すると、血管は即座に収縮します。その結果、心拍数が急上昇したり、不規則になったりします。
一方、タールにはこれらの作用はないと言われています。また、ニコチンを分解する過程で発生するニトロソアミン類については、強い発ガン性があると警鐘されています。
ニコチンの歯への影響
喫煙は活性酸素を増やし、血管内壁に入ったコレステロールの酸化を促進します。血管を傷つけ、収縮させ、動脈硬化や高血圧の原因ともなります。また歯肉の毛細血管の収縮により局所免疫の抑制を引き起こします。
これにより歯周病が悪化したり、お口の中の傷が治りづらくなったりしてしまいます。
タールの体への影響
タールは、いわゆる「ヤニ」と呼ばれ、たばこを吸う際に必ず発生する煙のうち、ガス成分などを取り除いた粒子状の成分です。粘質性が高いため、長期間にわたり喉や肺に留まりつづけ、体へ影響を及ぼします。
身体に悪い影響を及ぼすとされる成分が60種類以上含まれているため、健康への影響もより大きいおそれがあります。
また、タールには数百種の発がん性物質が含まれているので、喫煙者や受動喫煙者は発がんの可能性が高まるとも言われています。
タールの歯への影響
着色性も強く、歯が黄ばむ原因にもなります。また、独特な強いにおいを持っているため、口臭などの原因にもなります。
加熱式タバコは体にいいの?
加熱式タバコについて質問されることもありますが、加熱式タバコはタバコ葉に熱を加えてニコチンを発生させています。
煙が出ない代わりに、タバコ葉に含ませたグリセリン類によって蒸気を発生させて煙の代替とするのが基本です。発生するタールの量が9割以上減り、人体への悪影響が低減できるとは言われています。
ニコチンが含まれているため歯科医師として推奨は出来ません。ニコチンやタールを含まない電子タバコも販売されています。
最後に
特にインプラントがお口の中に入っている患者さんや歯周病の患者さんには、禁煙指導を行っていますが、ニコチンの依存性もあり、禁煙して頂くのは難しいです。
喫煙の影響でお口の中が悪くなっていくのをみると、無力感を感じてしまいます。まずは減煙からでも始めてもらいたいと切に願っています。
出展
厚生労働省 e-ヘルスネット(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp)
blu HP(https://www.blu.com/ja/JP)